キミの笑顔が見たいだけ。
シーンとした空間には医療機器の音だけがやけに響いて、まるで機械に生かされているような……変な感覚に陥る。
寝てる……だけだよな?
目を覚ますよな?
だって生きてんだろ。
全身が小刻みに震える。
「手術のあとから、もうずっと……眠ったままなんだ」
いつの間に入って来たのか、おじさんが隣に立っていた。
「いつ目を覚ますかは、誰にもわからない。一生……このままってこともありえる」
ズキンと胸が痛んだ。
うまく息が吸えなくて、頭がクラクラする。
予想していたことだとはいえ、実際に突きつけられるとショックは大きくて。
とてもじゃないけど信じられない。
「最初はね……命が助かっただけでも奇跡だと思ったんだ。だけど毎日こうやって菜都を見てたら、今度は目を覚ましてほしいと思うようになった。人間は欲張りだな……もう一度奇跡が起きることを願ってしまう」
白くて細い菜都の手を握りながら、おじさんは再び涙を拭った。
今の俺には、目の前にいる菜都が目を覚まさないなんて信じられない。
だって、普通に眠ってるみたいな顔してるだろ。