キミの笑顔が見たいだけ。
「5%……だそうだよ」
「なにが、ですか……?」
そんなこと、聞き返さなくても本当はわかってた。
唇を噛みしめ、拳をグッと握る。
「目を覚ます確率は、たったの5%だそうだ……」
「……っ」
血の気が引いていくような気がした。
5%って……っ。
冗談だろ。
フラフラとおぼつかない足取りで菜都のそばに立つ。
枕元には俺があげたネックレスが、透明の袋に入った状態で置かれていた。
「これ……」
「菜都が大切にしてたネックレスだ。手術の日も、ギリギリまで握りしめていたんだよ」
「……っ」
ネックレスをあげた時の菜都の笑顔が頭に浮かんで、思わず涙が溢れた。
だけどこんなところで泣けるかよ。
菜都の前で泣くなんて、みっともない。
「ゆっくりしていくといい。一旦ホテルに戻って仮眠を取ってくるから、頼んだよ」
そんな俺に気を遣ってくれたのか、おじさんはこの場を去った。
やっと会えたっていうのに現実は残酷で、目の前がボヤける。
「なぁ……頼むよっ。お願いだからーー」
動かない菜都の手をキツく握りしめた。
「頼むから……目ぇ、開けろよ。帰ってくるって……言っただろ?」
俺に会いに来るんじゃねーのかよ……?
「起きろって……なぁっ」
頼むから……っ。