キミの笑顔が見たいだけ。
だけど、この気持ちに嘘いつわりはない。
スヤスヤ眠る菜都の顔を上から見下ろす。
目を覚ましたら、まずビックリするだろうな。
眠ってる間に10年も経ったんだ、当然だ。
すぐには自分の現状を受け入れられない可能性もある。
大人になった俺のことだって、すぐに認めてもらえるかどうか……。
菜都の顔の輪郭を指でなぞるように撫でる。
その時、かすかにピクッと眉が動いた。
「菜都……?」
「んっ……」
うそだろ、まさか。
震える指で刺激を与えると、菜都は眉を寄せ顔をしかめた。
だけど目は開かない。
それでもこんな反応は初めてだったから、信じられない気持ちでいっぱいで。
「菜都……!」
今度は肩を叩いた。
早く……早く目を覚ませ。