キミの笑顔が見たいだけ。
「俺の気持ちは10年前となんも変わってねーよ。菜都が好きだ。だからそばにいたいと思った。それじゃダメなのかよ?」
「……っ」
真顔でそんなことを言われてドキドキした。
さらにはギュッと手を握られて、熱い眼差しを向けてくる。
ううっ、恥ずかしい。
思わず顔が赤くなった。
「菜都」
耳元で名前を呼ばれて、胸の奥がジンジン火照る。
緊張して恥ずかしいけど、精いっぱい手を握り返した。
あたしにできるのは、それくらいしかないから。
ドキンドキンと心臓がうるさい。
「はは、サンキュー……っ」
力なく笑ったかと思えば、唇を噛みしめて涙をこらえているようなそぶりを見せた。
「手を握り返してくれたことが……マジで、やべー。嬉しい……っ」
たったそれだけのことでって思ったけど、10年分の想いがそこに詰まっているような気がして思わず涙が溢れた。
きっと、いろいろあったよね。