キミの笑顔が見たいだけ。
エピローグ
一年後ーー
あたしは無事に退院した。
そして今日、久しぶりに日本へ帰国する。
晶斗は仕事があるから、見送りには来れないらしい。
これからアメリカと日本の遠距離になるけど、あたしたちは絶対に大丈夫。
そりゃ少しは寂しいけど、心が繋がってるもんね。
なにも心配することはない……。
そう、なにも。
「はぁ……」
それなのに、なぜか心にぽっかり穴が開いたよう。
この1週間、ずっとモヤモヤしていた。
ほんとは離れたくない。
でも晶斗は今の仕事に誇りと責任感を持ってやっている。
だからそんなことは、口が裂けても言えなかった。
それに、晶斗が仕事してる姿はあたしも好きだから……。
精いっぱい励んでほしいと思う。
ワガママ、言えないよね。
空港でチェックインを済ませても、出発までにはまだまだ時間があった。
多くの人が行き交う騒がしいロビー。
「菜都!」
そんな中、やけに大きな声が響いた。