キミの笑顔が見たいだけ。
さてと、あたしも帰らなきゃ。
今日は病院の日だから、ちょっと急がなきゃ。
だけど、昇降口にたどり着いたところで突然クラッと目の前の景色が歪んだ。
立っていられなくなり、靴箱に手を付いて崩れるようにその場にしゃがみ込む。
やだ、まただ……。
また、頭痛がする。
吐き気も少し。
確実に悪くなっていってる証拠なのかな。
とにかく、ここで倒れるわけにはいかない。
気合いと根性で保健室に向かった。
ーーガラッ
ドアを開けた途端、コーヒーの香りが漂って来た。
「あら、なっちゃん。どうしたの?真っ青だよ」
「う、うん……っ。ちょっと気持ち悪くて。休んでもいい?」
「もちろんよ。さ、一緒にベッドまで行きましょ」
先生が走り寄ってきてあたしの体を支えてくれた。
保健室にたどり着いた安心感から、フッと体の力が抜ける。
「フラフラじゃない。大丈夫なの?」
「うーん……ダメ、かも」
「あらら、じゃあ早く横にならなきゃ」
この半年で何度もお世話になってるから、保健の先生ともすっかり仲良し。
サバサバしてるいい先生で、多分あたしの事情も知ってくれてるんだと思う。
他の生徒には厳しいのに、あたしにだけは優しくていつもベッドを使わせてくれるから。