キミの笑顔が見たいだけ。
「春田さんは、高校1年生かな?」
「はい、そうですけど」
それがどうかしたのかな。
質問の意図がわからなくて、ついつい首を傾げてしまう。
「隠していてもいずれはわかることだから、はっきり言います」
「……?」
そんな言い方をされたら、何かあるのかなって不安になる。
あたし……どこか悪いの?
「菜都さんの頭の中には腫瘍があります。しかも、悪性の可能性が高く、非常に予後が悪い脳腫瘍です」
「「え……?」」
お父さんとあたしの声が被った。
先生はさっきまでとは違って、真剣でまっすぐな眼差しをあたしたちに向けている。
腫瘍?
悪性?
予後が……悪い?
心臓がバクバクと嫌な音を立て始める。
まだ肌寒い季節だというのに、背中に汗が伝う感覚がした。