キミの笑顔が見たいだけ。
あたし、春田 菜都(はるた なつ)は15歳の高校1年生。
猛勉強の末に合格を掴んだ進学校に通い始めて半年。
仲の良い友達も出来て、それなりに充実した学校生活を送っている。
これといって目立つ容姿をしているわけでもなく、どちらかというと地味で控えめな方。
だけどほとんど人見知りをしないあたしは、今まで人間関係に困ったことはない。
『浅く広く、みんなで仲良く』がモットーなの。
それにしても、この雨……ホントにやだ。
アスファルトから雨粒が跳ね返り、靴はもちろん、靴下までにもじわじわ水分がしみて気持ち悪い。
足元が急激に冷えて、ブルブル身震いしてしまった。
さ、寒い……。
このまま待ってても止みそうにないし、濡れるのは嫌だけど走って帰ろうか。
そう決心したものの、アスファルトを激しく叩きつける雨を見ていると足がすくむ。
濡れるのが大嫌いなあたしにとって、雨は天敵でしかないのだ。