キミの笑顔が見たいだけ。
初恋〜晶斗side〜
「「「はははははっ!」」」
放課後の教室で陽真やいつもの仲間の笑い声が響いた。
春田に逃げられ、教室に戻った俺を待ち構えていたこいつら。
「マジウケる!逃げられたってなんだよ!春田さんって何者?」
「ご愁傷様だな、晶斗。告ろうとしてたのに、逃げられるとか……ぷっ」
「だから何度も言ってんだろ!告るつもりじゃなかったって!しつこいぞ、お前ら」
「またまた〜!お前は素直じゃねーな」
慰めるどころか、全員腹を抱えて大笑いしてる。
楽しそうにしやがって……こいつら。
どうやらあの後春田は慌ててここにカバンを取りに来て、あっという間に行ってしまったらしい。
ものすごい勢いだったと後からこいつらに聞いて、屋上での出来事をついつい話してしまった。
まぁ……話した俺が悪いよな。
「春田さんって3組の岡田と付き合ってんじゃないの?入学当初、噂になってなかった?」
「あー、野球部の爽やかな奴だろ?2人で帰ってるとこ見かけたことあるわ、俺」
「へえ。春田さんって、爽やかな男がタイプなのか」
「晶斗は見た目はただの不良だからな。岡田とは正反対」
イラッ。
岡田 星太。
あいつの名前を聞いただけで、モヤモヤしたものが胸に渦まく。
この前春田に教科書を借りに来ていたあいつ。
春田の頭をいとも簡単に撫でて、爽やかに去って行ったあいつ。
ああいう爽やかなタイプは苦手だし、ぶっちゃけ嫌いだ。
馴れ馴れしくしやがって……幼なじみだからって調子に乗ってんじゃねーよ。
あー、くそっ。
思い出したらまたイライラして来た。
って……なんで俺があいつに振り回されなきゃいけねーんだよ。
春田のことだって……好きとかじゃねーし。
さっきだって、告ろうとしてたわけじゃない。
勢いで変なことを口走りそうになっただけだ。
冷静になって考えたら、ありえないことをしたなと自分でも思う。
思い返すと恥ずかしすぎて、どうにかなっちまいそうだ。
なんで……あんなこと。
俺は……バカか?
あそこで春田が逃げなかったら、俺はあいつになんて言ってた……?
「好きなんだろ?いい加減認めろよ」
陽真が俺の肩に手を回してニヤリと微笑んだ。