キミの笑顔が見たいだけ。
くそっ。
なんで……。
好きじゃねーはずなのに、なんで春田のことが常に頭に浮かぶんだ。
なんで……こんなに感情が揺さぶられるんだよ。
あいつの前では、冷静でいられなくなる。
好きじゃねーよ……好きじゃ。
好きなんかじゃ……ない。
だけどーー。
認めてしまえば、胸に沸き起こる感情のすべてに説明がつく気がした。
俺は……春田のことが。
「好きなんだよな?春田さんのこと」
「ああ……そうだよ。悪いか、バカ」
「ははっ、やっと認めやがった」
「笑いたきゃ笑え……。俺だって、なんで春田なのかわかんねーし」
そうだよ。
わけわかんねー。
こんな短期間でこんなにも好きになるなんて。
俺が……恋をするなんて。
「笑わねーよ。お前も、やーっと恋に目覚めたか。嬉しいよ、俺は」
「はははっ、晶斗が初恋?マジウケる!」
「ぷっ、初恋〜!見た目チャラ男なのに、マジ可愛いよなお前」
「俺はそんなウブなお前が大好きだぞ」
マジでこいつら、楽しんでやがる。
うぜーな。
けど、まぁどうでもいい。
今は春田のことで頭がいっぱいで、言い返す気すら起きない。
春田の奴、なんで逃げたんだよ……。
俺って、そんなに嫌われてたのかよ?
あの時泣きそうになってたのは、俺が先輩に告られてるところを見たからじゃねーのかよ。
って、そんなわけねーか。
それなのに、春田にそう詰め寄った俺は相当イタイ。
春田はもしかすると、あの幼なじみのことが好きなのかもしれないもんな……。
はぁ。
「恥ずかしかっただけなんじゃねーの?春田さんてウブっぽいし」
「…………」
「んな落ち込むなって」
「別に落ち込んでねーよ」
そうだ。
落ち込んでなんかない。
それなのに、心が浮かない。