キミの笑顔が見たいだけ。
具合いでも悪いのか?
けど、さっきはそんな風に見えなかった。
あのあと、体調を崩したのか?
体が弱いって言ってたもんな。
大丈夫なのかよ。
春田が出て来たのは、1番診察室ーー。
そこにはーー医師、矢沢 琉衣斗。
そう記されていた。
番号毎に診察科目が分かれており、2番は消化器、3番は内科、4番は婦人科と10番までたくさんの科がある。
1番はどうやら、脳神経外科らしい。
春田が脳外を受診?
しかも、オヤジの診察を受けてんのか?
なんで……?
風邪なら普通は内科とかだよな?
なんで脳外に?
嫌な予感が拭えなくて、ドクンドクンと胸が高鳴る。
立ち止まったまま動けないでいると、春田の背中はあっという間に受付の方に消えて行った。
その日の夜中ーー。
春田のことがどうしても気になって、珍しく起きてオヤジの帰りを待った。
AM2時を回った頃。
ーーガチャ
オヤジが帰宅した。
「オヤジ」
「晶斗。お前、まだ起きてたのか?」
目を丸くするオヤジ。
普段俺から話しかけることなんてないから、かなりビックリしているようだ。
「あのさ、聞きたいことがあんだけど……」
「聞きたいこと?なんだ?」
オヤジは俺の前に腰を下ろし、まっすぐに俺を見据えた。
どんな時でも疲れた顔を見せず、真剣に向き合ってくれるオヤジ。
曲がったことが大嫌いで正義感が強くて、たまにウザいと思うこともあるけど尊敬もしてる。
「今日病院でクラスメイトを見かけて。春田っていう女なんだけど……」
患者の個人情報を教えてくれるわけがないことはわかってる。
だけど、どうしても気になった。
「あいつ、どっか悪いの?オヤジが診察したんだろ?」