キミの笑顔が見たいだけ。


「あのさ」


「うん?」


「後夜祭の時、誰かと約束してたりする?」


「え……?」


「話したいことがあるから、教室に来てくんねー?」


「え、えと……」


話したいこと……。


「どうしても春田に伝えたいことがあるから、来るまで待ってる」


「…………」


「とにかく、ずっと待ってるから」


「…………」


ズルいよ……。


そんな風に言われたら断れないじゃん。


どうしよう。


どうすれば……。


だって……だって。


「そろそろ、交代の時間だな。陽真と約束してるから行くわ。じゃあ、あとで」


「…………」


矢沢君が去ったあと、しばらくぼんやりしたまま動けなかった。


どうしよう。


どうしたらいいのかな。


ーーピロリン


「わ」


いきなり音が鳴ってビックリした。


スマホを出して見てみると、矢沢君からさっき撮った写メが送られて来た。


ーーピロリン


『待ってるから』


うっ。


立て続けにそんなメッセージが届いて、どうすればいいかわからずに画面を凝視する。


どうしよう……。


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