キミの笑顔が見たいだけ。
「岡田のことが、好きなのか……?」
「ちが、う」
違うよ……。
「じゃあ……なんで」
「……ごめんっ」
ごめん……。
ごめんなさい……。
矢沢君のまっすぐな気持ちが痛くて、苦しくて、切なくてーー愛しい。
「俺のことを好きじゃなくてもいいっつったら?」
「ごめん……あたしは……矢沢君とはーー」
「なんかあるんだろ?俺と付き合えない理由。聞かなきゃ納得出来ねーよ」
「…………」
「春田。顔、上げろって」
「…………」
ムリだよ。
嫌だよ。
理由なんて、言えるわけないじゃん。
ホントのことを知られて、嫌われるのが怖い。
「……とにかく、ごめん」
「春田……」
「…………」
「困らせて……悪いと思ってる。でも、それでも俺は……本気で春田のことが好きだから。ちゃんとした理由もなしに、そう簡単には諦めらんねー……」
「……っ」
「しつこくてごめん……けど、俺は真剣だから。これからも諦めねーし、覚えといて」
うつむくあたしの頭をポンとひと撫ですると、矢沢君は静かに教室をあとにした。