キミの笑顔が見たいだけ。
「もしもーー」
「春田?お前、今どこにいんだよ?」
受話器の向こう側から聞こえる矢沢君の声は、ひどく焦っている様子。
「ご、ごめん……えーっと桜並木の河川敷の土手にいまして……」
「土手ぇ?何やってんだよ、んなとこで」
ひときわ険しくなった矢沢君の声に、思わず背筋がピンと伸びる。
「え、えと、寝てました……」
「…………」
空気が凍りついた気がした。
「えへへ、でも大丈夫なので」
「すぐ行くから、待ってろ」
ーープツ
ーープープープープー
き、切れた。
矢沢君、なんだか怒ってたような……。
いや、呆れてた?
そりゃそうか。
こんなところで寝るなんて前代未聞だよね。
でも、星が綺麗だなぁ……。
今日はものすごく晴れてたから、空気が澄んで星がキラキラ輝いている。
死んじゃうと、この綺麗な星空も見れなくなっちゃうのか……。
なーんて……感傷に浸ってみる。
「春田!」
遠くの方から名前を呼ぶ声が聞こえた。
矢沢君はあっという間に目の前まで来ると、よっぽど急いでいたのか膝に両手をついて息を整え出した。
「お前、なぁ……はぁはぁ」
「え、えへ?ごめんね?」