キミの笑顔が見たいだけ。
12月に入って、寒さがより一層厳しくなった。
冬が明けて春が来たら……あたしはどうなるんだろう。
そんなことを考える時間が増えて、気分が上がらない。
冬は嫌いだ。
体だけじゃなくて、心も凍りつく感じがするから。
「ねぇ、菜都。今日の帰り、高垣君に映画に誘われたんだけど一緒に行かない?」
「映画?いや、2人の邪魔しちゃ悪いから」
「やだ、あたしと高垣君はそんなんじゃないよ!チケットが4枚あるから、矢沢君も入れて4人で行こうって意味」
身振り手振りで高垣君との仲を必死に否定する花純。
だけど、その顔はほんのり赤い。
「矢沢君も行くの?」
「うん、高垣君がそうしようって」
4人で……。
「行こうよー、お願い!」
「花純は高垣君が好きなの?」
「えっ……!?や、やだなぁ、そんなんじゃないよ!」
キョロキョロと視線を彷徨わせ、明らかに不自然な花純。
さっきよりも赤くなった顔を見て確信した。
やっぱり、好きなんじゃん!
「仕方ないなぁ、いいよ」
「ホント?やったー!じゃあ放課後ね」
あは、花純ってばかっわいー!
バレバレだよ?
わかりやすいなぁ。