キミの笑顔が見たいだけ。


「はーい」


花純がボタンを押して2人の言い合いは何とか終了。


だけど高垣君曰く、これが高垣君と矢沢君の普通なんだとか。


ホント、男子ってよくわからない。


「ところで、今日はなんの映画を観るの?」


「今流行りの恋愛映画だよー。泣けるってウワサのやつ」


「あ、今CMしてるやつ?あたしも気になってたんだよね!」


「そうそう!すっごい泣けるらしいよ」


へえ、そんなに泣けるんだ。


恋愛ものは大好きだから、すごく楽しみ。


「俺、結構涙脆いからなー。泣いちゃうかも」


「高垣君が泣いてるところ想像出来なーい!」


「そう?俺、結構なんでもすぐ泣くタイプだよ」


「えー!」


キャッキャッと盛り上がる2人。


花純の幸せそうな顔を見て、あたしまで幸せな気持ちになれた。


花純の恋がうまくいきますように。


「矢沢君は恋愛映画好き?」


「いや、まったく」


シレッとサラッと答えた矢沢君。


テーブルに頬杖をついて、興味のなさそうな顔をしている。


「けど、菜都は好きなんだろ?」


「うん」


「だったら観る」


「ホント?」


「ああ。菜都が興味あるもんには俺も興味ある」


恥ずかし気もなくサラッと口にした矢沢君は、こんな風によく甘いセリフを吐く。


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