キミの笑顔が見たいだけ。
「ねぇねぇ、矢沢君って絶対に菜都のことが好きだよね?何気に名前呼びだしー!いい感じじゃん」
矢沢君がトイレに立った隙に花純がそう詰め寄って来た。
高垣君もニヤニヤしながらあたしを見てる。
なんだか2人に責められているみたい。
「矢沢君ってあからさますぎるよね!告られたりしてないの?」
興奮気味に話す花純の目を見れずに黙り込む。
「俺もすっげー気になる!晶斗の奴、最近はなーんも話してくんねーし。からかい甲斐がなくて、つまんねーんだよな」
「何もないよ……」
ホントはあったけど、ここでそんなことを言うわけにはいかない。
「マジで?晶斗の奴、すっげーわかりやすいだろ?バカだけどいい奴なんだよ。春田さんは、あいつのことどう思ってる?」
「それ、あたしが聞こうと思ってたのにー!」
「まぁまぁ」
どうって……そんなの。
ホントのことなんて、言えないし。
「……友達として、好きかな」
またウソを吐いてしまった。
言えないことが増えていく。
自分の気持ちを隠して逃げて偽って……最後には何が残るんだろう。
孤独……かな。
「菜都ー?ウソはダメだよー?親友のあたしの目を誤魔化せるとでも?ホントは好きなくせに〜!」
「な、なに言ってんの」
「ぷっ、春田さん真っ赤!わかりやすー!」
2人にからかわれて赤面するあたし。
「友達として……好きだもん」
「もう、変なところで意地っ張りなんだから〜!」
強がってみせたら花純に笑われてしまった。
親友の花純にはなんでもお見通しのようだ。
さすが、あたしのことをよく知ってくれている。