キミの笑顔が見たいだけ。


だって、どんな状況になっても自分が死ぬなんて認められないから。


誰かに言うことで確信に変わりそうな気がして怖いんだ。


あたしには主人公の気持ちが痛いほどわかる。


「ま、所詮フィクションだし、内容にどうこう言うのもな。けど、やっぱ病気系の話はラストがツラすぎる」


「うん!涙なしに見れないよね」


なんて言いながらさらに盛り上がる2人。


うん……ラストは変えようがないもんね。


結末がわかりきってるから。


だから……。


矢沢君との思い出はこれで最後にする。


じゃなきゃ、取り返しがつかなくなりそうで怖い。


もっとって先を求めてしまいそうで怖い。


あたしは見送る側の人間じゃなくて、主人公側の人間だから。


すごい確率で主人公側に選ばれたあたしは、相当運が悪いよね。


ダメだ……気分が上がらない。


「ねぇ、このあとどうする?」


「あー、そうだな。どうすっかなー。カフェでも寄ってく?」


「いいね!菜都も行こうよ」


「晶斗も行くだろ?」


「俺はどっちでもいい」


「ごめん、あたしは帰るね。あとは3人で楽しんで!じゃあ」


早くここから離れたかった。


こんな気持ちのまま一緒にいたくない。


でも思った以上に足がうまく動かせなくて、もどかしい。


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