キミの笑顔が見たいだけ。
「ドキドキ……するから、離して」
ドキドキするって……なんでだよ。
俺のことを好きでもねーくせに。
意味わかんねーよ。
なんで期待させるようなことばっか言うんだよ。
俺のこと……どう思ってんだよ。
密着していると、答えが知りたくてたまらなくなる。
菜都の本音が聞きたい。
どうしても問い詰めたくなる。
困らせたくなる。
「菜都……」
抱き締める腕にさらに力を込めた。
誰が離してやるかよ。
もっとドキドキさせてやる。
忘れられなくさせてやる。
俺じゃなきゃ嫌だって言わせてやる。
「は、離して……矢沢君」
「ムリ」
「お願い……」
「マジで好きなんだよ」
お前が俺をどう思っていようと、好きでたまらねーんだよ。
振られてんのにしつこいって思われるかもしんねーけど、そう簡単に諦められる気持ちじゃない。
「だから、離したくねー」
「……っ」
菜都はそれ以上何も言わなかった。