キミの笑顔が見たいだけ。
抵抗することなくじっと黙り込んでいる。
ザーッと降りしきる雨の中、菜都の体温を感じていた。
ドキンドキンと高鳴る鼓動は、菜都にも聞こえてんのか?
だとしたら、恥ずかしすぎるだろ。
「矢沢君はズルい……っ」
「何がだよ……?」
「なんでもないっ。だけど……ズルいよっ」
「…………」
いやいや、いきなりわけのわかんねーことを言うお前の方がズルいだろ。
「ズルい……ホントは……あたしだって……っ」
涙交じりの悲痛な声に、胸の奥が締め付けられる。
「あたしだって……っ」
「……なんだよ?言えよ」
なんかあるんだろ?
俺に言いたいことが。
いつも何か言いたそうに俺を見てること、ちゃんと知ってんだよ。
悲しそうに寂しそうにしてること、ちゃんと気付いてんだよ。
言えよ、ちゃんと。
聞かせろよ、お前の本音。
知りたいんだって、マジで。