愛しい人
今、その質問を誤魔化せる自信がない。

「もぅ、どうしたの?あっそうだ!喉乾いたなぁ~お水貰って良い!?」

はぐらかすように話しかける。

「冷蔵庫に入ってるの飲んでいいよ。
それもってこっち来て。」

やっぱり逃がしてはくれない。

お水を握りしめゆっくりソファに腰かける。

泣くな、私。
ギュっとお水の入ったペットボトルに力を入れる。

「ど、どうしたの?」

出来るだけ明るい声で聞く。

「俺になんか隠し事あるんじゃない?」

「隠し事?そ、そんなのないよ。」

下を向いたまま必死に答える。
今にも溢れ落ちそうな涙を唇を必死に噛んで堪える。

「じゃあ、なんでそんなに泣きそうなの?」

「…」

もぅ、言い訳を言うとこを出来ない。
口を開いたら涙が溢れ落ちて止まらなくなる。

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