幼なじみのフキゲンなかくしごと

もう一度、瑞季くんの方に視線を送ってみる。

今度は、気づいてという気持ちを込めて。ひかえめだけど、なるべく真っ直ぐ見つめる。



「……矢代くんが、どうかしたの?」


何か察してくれたみたいで、友香ちゃんは耳元でそう聞いてきたので、こくっとうなずく。



瑞季くんは気づく気配はない。

ううん、ほんとは気づいてる、きっと。

でも女の子たちがいるから、気づかないふりをしているんだ。


……楽しそうだし。

私は、もう帰ってもいいんじゃないかな。



そう思って再び視線を下げようとしたとき、

瑞季くんの席に近づいていく一人の男の子が目に入った。



山崎くんだ。
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