幼なじみのフキゲンなかくしごと


「俺、先に帰るな」


それだけ言うと立ち止まりもせずに出ていこうとする。



「えー、山崎くん帰っちゃうの?」

「気をつけてね……!」

「ばいばい! また月曜日ね〜」



女の子たちのそんな言葉に曖昧に頷く山崎くん。

そんな中、突然、瑞季くんがガタッと荒々しく音をたてて立ち上がった。



「遼平っ、」


そう呼び止めた声は、どこか、ひどく焦っているように聞こえて。


余裕のない表情に思わず息を飲む。

教室中がしんとなった。
< 101 / 304 >

この作品をシェア

pagetop