幼なじみのフキゲンなかくしごと

瑞季くんはしばらく、じっと葛西くんを見つめていた。美結ちゃんの言葉に返事もせずに。


さっきみたいに睨んでるわけでもなく、無表情で何を思ってるのかわからない。



そして。


「それさ、葛西だけで充分じゃない? 係だからって、女の子にわざわざ重たいもの運ばせるの?」


口調が戻った。いつもの王子様キャラに。



女の子、イコール、それは私?

瑞季くんが女の子扱いしてくれている。

でも、全然嬉しくなんかない。


だってこれは、王子様の仮面かぶってるニセモノの瑞季くんだから。


思ってもないことスラスラと言っちゃうんだ。
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