幼なじみのフキゲンなかくしごと

嘘だ。いるはずない。


だって、美結ちゃんたちと一緒に教室出て行ったのに。

私こと嫌いって言って、見向きもせずに……。



「なんでいるの……?」



私に気づいた瑞季くんはゆっくりと顔をあげる。そして、私を見た。


薄暗いせいで表情まではわからないものの、視線はしっかり絡んでることがわかる。



自分の心臓の音、うるさい……。



「遅い。葛西が来てもう10分くらい経つのにな」

「……」



ドキドキしすぎて声が出てこない。

ここでずっと待っててくれたの?

私を?



「……いつまで突っ立ってんの」


“ はっきり言わせてもらうと、嫌いなんだ
あさひのこと ”



あんなこと言ったくせに、どうして──
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