幼なじみのフキゲンなかくしごと


「そういや、キラ元気?」



私が何も言わないから気を利かせてくれたんだろう。

瑞季くんは紅茶を一口すすったあと、そう尋ねた。



「うん、元気。でも最近ちょっと太った」


「はっ。あさひが甘やかすからだろ」



キラっていうのは、私の家で飼っている三毛猫のこと。

小学6年生のときに公園に捨てられてるのを瑞季くんが見つけて拾ってきた。


瑞季くんのお母さんが猫アレルギーだったから、あれからずっと私の家で飼ってる。




「俺のこと、覚えてるかなキラ」

「覚えてるよ」

「そうだといいけど」

「……気になるなら、今日私の家に来れば?」

「……」




瑞季くんが目を逸らした。


ズキッと胸が痛む。



「……また、いつかね」


窓の外を眺めながら、瑞季くんはひとり言みたいに言った。
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