幼なじみのフキゲンなかくしごと


「──あさひちゃん?」


ふわっと甘い香りしたかと思うと、今度は下から顔をのぞき込まれた。



相づちも打たないで考え込んでたから不思議に思ったんだろうな。


あわてて笑顔をつくったのはいいけど、口にする言葉が見つからなくて目をそらしてしまう。


「えっと、瑞季くんは……」



過去に付き合った女の子?

中学3年生までずっと一緒にいたけど、彼女なんて……聞いたことがない。



「彼女とかは、」


───いなかったよ。


言いかけて、やめた。


だって。


本当にいなかった……?

私が知らなかっただけで、ほんとは付き合ってる子がいたのかもしれない。


瑞季くんのことを好きな子は昔からたくさんいた。


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