幼なじみのフキゲンなかくしごと
戸惑いながらも顔を上げると、瑞季くんの瞳は確かに私を捉えていた。
「……だ、大丈夫」
隣に美結ちゃんがいるという緊張感も合わさって、か弱い声しかでなかった。
「よかった。俺のが移ってるんじゃないかって心配した」
「っ。大丈夫だよ、全然」
「あの後よく眠れた?」
「うん」
待って……待って。
今、ものすごくナチュラルに私に話しかけてるけど、ここ、学校だよ……?
隣に、美結ちゃんがいるんだよ?
しかも、「あさひ」って呼んだ。
「まあ、馬鹿は風邪ひかないって言うしね。今週の金曜日までには俺も体調万全にしとくから」
じゃあまたって言って、ぽんと頭の上に優しく手を置かれた。
時間差で、カアッと顔が熱くなる。