幼なじみのフキゲンなかくしごと
『中瀬さん、消しゴム落としたよ』
2年生になってからの瑞季くんとの初会話が、これ。
瑞季くんが話し掛けてくれたことに驚いたと同時に、他人のように接してくる態度に傷ついた。
ありがとうというお礼すら言えず、それからもずっとそんな状態が続き。
必要最小限の会話しかしないし、その中に個人的な話は一切ない。
先生が探してたよ、とか。その程度。
一度たまたま教室で二人きりになった時に、怒られたことはある。
あからさまに避けてんなよって。
あからさますぎて逆に怪しまれるだろうって。
おまけに、私と話すときの瑞季くんは
決まって機嫌が悪かった。
わざとなのは知ってるけど、クラスの女の子には愛想振りまいてるくせに……とか考えてしまって。
わかってる。
瑞季くんは、私のことが嫌い。
だから私も
瑞季くんなんてきらいだよって
思ってたーー。