幼なじみのフキゲンなかくしごと



そこで、自分の体が冷え切っていることにようやく気づいた。


手袋すらはめてない手はすっかり悴(かじか)んでしまっていて、もはや感覚すらない。



拾おうとして屈んだ姿勢を取ると、関節が鈍く痛んだ。




「……やっば」




凍えてしまっている。なんとか掴みあげても、うまく力が入っているのかさえわからない。



手袋はないにしても、せめてカイロとかがあれば、まだマシだったかな。




最近、自分でも呆れるほどいろんなことに無頓着だ。
寒さ、にも……。

生活の中に、寒いとか、そういうのを感じる余裕すら、ないんだと思う。




今日は冷えるからあったかくして行こう、とか。

学校へ行く前に、皆があたり前に考えていることなのに、頭の中は、いつだって───。



手のひらの上で、再びスマホが振動した。

なんとなくイヤな予感がした。


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