幼なじみのフキゲンなかくしごと

今は……年末にかけて仕事が一番忙しい時期のはずだ。

そんな時に、父さんが家に……。


ーー年末。

そういえば、あと一週間もすれば、学校は冬休みに入る。


冬休みなんて言葉、頭からすっかり抜けていた。



たしか、来週の月曜日が終業式のはずだ。遼平が、月曜にわざわざ学校に行かなければならないことを不満がっていた。




そんなことより……今は父だ。

戻ってきた理由は分からないけれど、俺にとって幸か不幸かと言われれば、恐らく後者。



帰宅すれば、すぐさま部屋に呼ばれるだろう。
ただでさえ息苦しい、あの家───。



瞳を閉じて、思考を巡らせる。

あの人の思う" 矢代瑞季 " を頭の中に描いて、じっくり、確かめるようになぞった。

< 205 / 304 >

この作品をシェア

pagetop