幼なじみのフキゲンなかくしごと





数日前、依吹が言っていた。



あの子のこと。



以前はもっと元気で、明るかった。性格としては元から大人しい方ではあったかもしれないけれど、自分に自信がないというような、弱気な部分を表に出すような子じゃなかった……と。



過去のことは思い出したくない。

過去のことと言うよりは、過去の自分自身、を。



だって、例えば、今まで生きてきた17年間の思い出バナシをしろって言われたとして。俺は、どうしたってあの子のこと抜きでは語れないから。




過去をなかったことにする事はできないけれど、俺は、なかったこと" 同然 " にしようとした。


できなかった。





俺の記憶から全部消えてしまえばいいのに。

そう思うくらいあの子ことが憎くて仕方ないのに

あの子には、一生俺のことだけ見ていてほしい。



ずっと前から

歪んだハナシ。

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