幼なじみのフキゲンなかくしごと
「相変わらず甘……砂糖の量やばいだろこれ」
「久しぶりに飲んだかも、ミルクココア。やっぱり美味しいや……ありがとう」
「別に」
ちょっとずつだけど、瑞季くんと対等に話せるようになっている気がする。
一言一言に怯えていたときとは違って、ちゃんと自分を保てているし、落ち着いて言葉を紡いで、返すことができていると思う。
「瑞季くんは昔から優しいよね」
「誰にでもいい顔できる子に育てられたからな」
「……でも、ほんとの瑞季くんも優しいの知ってるよ」
「なんだよ、ほんとの俺って」
ふはっと声をあげて、苦笑い。
それから
ふと、瑞季くんの表情が陰った。
「ほんとに、優しくなんかないんだよ
ごめんな」
前と同じ。
遠くを見つめて、ひとりごとみたいにそう呟く。
ギュッと握りしめたミルクココアの缶は、いつの間にか冷たくなっていた。