幼なじみのフキゲンなかくしごと

「今撮ったのちゃんと消せよ?」

「と、撮ってない!瑞季くんが邪魔したから撮れなかった!!」

「ほんと?」

「ほんとだよ!」

「じゃあカメラロール見して」



ひょいと右手が私のスマホに伸びてきて、隠す必要もないのだけれど反射的に逃げてしまった。


「貸せ」


その言葉とともに掴まれた手首。

ふわりと甘い匂いがして。



「…っ」


はっと顔をあげると、すぐ近くで視線が絡んだ。


瑞季くんに触れられている部分がじんじんと熱い。見下ろしてくる真っ直ぐな瞳に心臓が跳ね上がる。



「え、とあ……」


何か言おうと頭を回そうとするも、言葉にならない声がこぼれるだけ。


瑞季くんの手が一瞬離れたかと思うと、その指先がそっと頬に触れた。



「顔、赤」


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