幼なじみのフキゲンなかくしごと

恥ずかしさに、じわりと涙が滲んできそう。


抵抗することを忘れて、スマホは大人しく瑞季くんの手に渡る。

それなのに瑞季くんはスマホに視線を落とすことなく、視界に私を捉えて離さない。



近い距離。

ふたりきり。

どきどきなんてものじゃない。


バクハツしそう



「……そんなカオして」

「……?」

「かわ、いい……から困る」



ーードン

って、心の中に爆弾が落とされたみたいだった。


二人きりという状況が幸せでふわふわと夢心地だったから、幻聴だったのかもしれない。


だって、瑞季くん今



「部屋」

「へ?」

「あさひの部屋行く」


腕を引かれた。

まるで自分の家を案内するみたいにトントンと階段を上って、あっという間に私の部屋の前に立つ。
< 231 / 304 >

この作品をシェア

pagetop