幼なじみのフキゲンなかくしごと

「入ってもいい?」


コクコクと頷くことしかできない。

瑞季くんの手によって扉が開かれた。



繋いでた手は自然と離されて、その直後に大きなため息が降ってきた。


ベッドの前にドサッと腰を下ろしたかと思えば頭を抱えて項垂れる瑞季くん。



「はぁ……なんかもう、ほんと、だめだ」

「大丈夫……?もしかして具合悪い?」



顔を少し上げて、私を見る。

そしてすぐ、反らした。



「違うよ、そんなんじゃねえ……」



急に元気がなくなったみたい。

どうしたのかな、やっぱり家はだめだったかな……?


恐る恐る隣に座って、ひかえめに顔をのぞき込んでみる。



「瑞季くん……?」

「あさひの匂いだ」

「えっ?」

「全部お前の匂いがする」



熱っぽい瞳にドキドキして冷静じゃいられなくなった私は、思わず立ち上がった。



「えっと私……お茶とか持ってくる!」

「いいよ」

「へ?」

「行かなくていいから」


また腕を引かれて。

決して強い力じゃないのに、引き寄せられるように座りこんだ。

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