幼なじみのフキゲンなかくしごと



── 『ねぇ、俺って政略結婚しなきゃいけないの?』



思い切ってそんなことを聞いてみた。


父は首を横に振った。



『そうと決まってはない……が、お前に見合う相手に目星をつけていたりは一応しているんだ』



母が言っていた言葉の意味を知りたかったけれど、父の前で口にするのはためらわれた。



何も言わない俺を前にして、父は少し考えたあと、別の部屋から資料のようなものをたくさん持ってきてテーブル上に広げた。



それは……うちの会社の、パンフレット。


一つじゃない。たくさんあるパンフレットは、全部全く種類の異なるもので。



『ここにあるもの全て、将来お前が背負うものだ』



その父の言葉は、当時の俺にとっては
あまりにも重かった。

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