幼なじみのフキゲンなかくしごと

また、胸を揺さぶられた。

のんびりとした口調でそんなことを言う葛西。



具体的でもなければ、実現性も低い言葉。


それなのに。



「今ならまだ間にあうよー？ 俺の妹のこと嫁に欲しがってるやつらなんか山のようにいるんだから」


葛西につづいて、


「理屈なんか抜きにして。好き同士だったら、大丈夫じゃない？」



遼平までそんな言葉を吐く。

そんなに単純な話じゃない。簡単でもない。

だけどそれは、きっと二人ともわかっている。

分かったうえで、わざとこんな言葉をくれるんだ。



「だけどほんとは、あさひは俺に恋愛感情なんて──」


もっていない。

そう言葉にしようとしたとき。

何かが頭をよぎった。