幼なじみのフキゲンなかくしごと
「ねえ矢代くん。今日は何時まで付き合ってくれる〜?」
「俺は別に何時まででも大丈夫だけど、北野さんは門限とかあるの?」
「よかった〜!うちは門限とかないから遅くまで遊べるね」
「……そうだね。ほんとに遅くなった時は家まで送るから」
「いいの? うれしい〜!」
ワントーン上がった、嬉しそうな声。
すごく喜んでる顔が目に浮かぶ。
――北野さん。
北野美結(きたの みゆ)ちゃん。
クラスで目立つタイプの、明るい子。たしかこの前、3年生のイケメンの彼氏と別れたって話を聞いた気がする。
今は瑞季くんのことが好きなのかな……?
ゆくゆくは瑞季くんの彼女になっちゃったり
、するのかな……。
ズシンと、何か重たいものがのしかかったような苦しさを感じた。
「あさひー、帰ろ?」
友香ちゃんが机の前にやってきて顔をのぞき込んでくる。
横目で瑞季くんと美結ちゃんが教室から出て行ったのを確認してから、私も席を立った。