幼なじみのフキゲンなかくしごと
なんで……?
やっぱり瑞季くんは、今も私だけに冷たいんだ。
幼なじみなのにな……。
「瑞季くんのばか」
心の中で呟いたつもりだった。
瑞季くんが振り返って初めて、声に出ていたことに気づく。
瑞季くんの吐いた溜め息が白く染まった。
「お前の方がばかだろ」
無機質な声。
だけど、冷たさは感じない。
私の方にゆっくり歩み寄ってくる。
距離が少しずつ縮まって影が私に重なると、彼の口からさっきよりも少し長い溜め息が落ちてきた。
「なんで泣いてんの」