幼なじみのフキゲンなかくしごと
なるべく目立たないように、葛西くんから少しだけ距離をとる。
帰っていく生徒たちとは逆方向に廊下を進みながら、彼の足元を見つめて。
……瑞季くんが葛西くんを睨んでた?
瑞季くんは私たちに背を向けてたし、葛西くんの勘違いだとは思うんだけど……。
そもそも、瑞季くんと葛西くんの関係って……?
この前からずっと、いくら考えてもわからないことで頭を悩ませてばっかりだ。
「あさひちゃん、これひとりで持てる?」
いつのまにか事務室に到着していて、段ボールを1つ抱えた葛西くんが、それをそっと私に差し出してくる。
「重いから、無理そうなら言って。俺は一度に3箱が限界かな」
私は両手で恐る恐る受け取る。
「……いい? 離すよ?」
直後、両手にぐっと重力を感じた。