幼なじみのフキゲンなかくしごと


「まぁ、俺らが来週ここで実験するときには片してあるでしょ。土日挟むしね」


「そうだね……」

「……」



ふっと沈黙が訪れた。

暗い中、ふたりして立っていてなんだか気まずい。


事務室にはまだ段ボールが残ってる。


あと2回くらいは往復しないといけないだろうから、いつまでもここで止まってるわけには行かない。



「葛西くん、そろそろ行───」

「あさひちゃん」



私の声をさえぎるようにして名前を呼ばれる。静かな声。


ドキッとしたのもつかの間。



「 えっ……葛西くん?」



彼の左手によって、化学室のドアが閉じられた……。
< 79 / 304 >

この作品をシェア

pagetop