幼なじみのフキゲンなかくしごと
抑揚もなく淡々とした口調でそう尋ねる瑞季くんは
当然、慰めたりだとか、涙を拭ってくれたりだとか、そんな優しいことは絶対しない。
だけど。
「嬉しいから……」
「はあ?」
「瑞季くんが2年ぶりに名前呼んでくれて、一緒に、帰ろうって言ってくれたから…っ」
「………」
言葉にすると一気に感情が高まって、涙が止まらなくなる。
次々と流れてくる雫を制服の袖で拭った。
「きったねぇの」
と、瑞季くんが一言。
「ハンカチくらい持ってこいよばか」
直後、私の顔面に何かが押し付けられる。
瑞季くんの匂いがした。