幼なじみのフキゲンなかくしごと
甘い匂い。あったかい体温。
私、今……抱きしめられてる。
えっ? いや、なんで……?
数時間前に初会話した男の子に、抱きしめられてる。これは、おかしい。
「葛西くん……?」
「あさひちゃんのこと知りたい」
「えっ?」
「あさひちゃんは矢代のなんなの?」
「……っ」
少しだけ葛西くんの腕の力が弱まった。
暗い……けど、確かに今、視線がぶつかってる。
「俺の勘違いだったら悪いんだけど、あさひちゃん、矢代のこと好きでしょ」
葛西くんに聞こえるんじゃないかって思うくらい心臓が大きく脈打った。