現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
岡田さんはさらりと驚くことを言い放った。
持っていた箸がぽろっと手から皿に落ち、かしゃん、と音が鳴る。
それでも私は固まったまま、大きく目を見開いて岡田さんを見ている。
……は!?
岡田さんが私を好き!?
「なに言ってんですか……?」
「だから、好きなんだって。好きじゃなきゃ誘わないよ、こんなに強引に」
岡田さんはそう言いながら、笑っている。
どこに!?
どこに惹かれる要素があるんだ、この私に!
「……あり得ないんですけど」
「どうして?」
「だって、私にはなんも魅力がない」
いつも化粧もせず、髪も邪魔にならない程度に結んだだけで、鼠色の作業着を着て油まみれで仕事して。
綺麗なわけでもない、性格だってさほどいいものではない。
毎日仕事から帰ってはお酒を飲んで、こたつでそのまま寝るようなぐうたらぶり。
今だってほら、岡田さんよりも豪快にお酒を飲んで、大口開けてご飯を食べている。
こんな女らしくない女を好き、だなんて信じられるわけない。
「そこが逆に魅力だと思わない?身なりとか気にせずに仕事に真剣に打ち込んでる姿が、とても美しいと思うんだけど」
「う、美しいって」
赤面しちゃうような恥ずかしい言葉を、さりげなく言うんじゃない!
思わずビールに逃げた。
アルコールが身体に回らないと、恥ずかしすぎておかしくなりそうだったから。
「……変な人ですね、岡田さんって」
「それは昔からよく言われてた。でも人の好みなんてそれぞれでしょ?誰もがみんな綺麗な人を好きになるわけじゃないよ」
それはそうですけど。
でもだからって……。
「うーん……。やっぱり考えても良く分からない」
「だからさ、試しに付き合ってみない?」
「は!?ないないない、ないです!ごめんなさい、付き合えないです!」