現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
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終業のベルが鳴り、私はバスで岡田さんのマンションの近くまで乗り、マンションへ帰る。
岡田さんから貰った合鍵を使って部屋に入り、リビングのソファに持たれかかって、久々の仕事の疲れを癒していた。
「ただいまー」
七時過ぎに岡田さんは帰って来た。
手にはスーパーの袋を持ち、その袋の中には沢山の食材とノンアルビールが大量に入っていた。
「おかえり。随分と沢山買ってきたね」
「ああ、当分ここに里緒奈がいるから、今ある材料じゃ足りないと思ってね。毎日行くのも面倒臭いし、まとめて買ってきたよ。あと薬飲んでてお酒飲めないから、ノンアルも買ってきた。仕事終わりはノンアルとはいえ飲みたいだろ?」
「もちろん!気を遣ってもらってありがとうね!ごめん、重かったでしょう?あと、お金!」
「全然、工場ではもっと重いもの持ってるし。それとお金もいらないよ。はい、これ飲んで待ってて」
岡田さんはそう言って袋に入っていた缶を私に渡すと、キッチンへと向かった。
しかし本当に上げ膳据え膳である。
怪我をしているから仕方ないとはいえ、ほとんどなにもやれていない。
せいぜい自分の洗濯物を洗濯機に入れてボタンを押すか、片手でも出来る掃除をする程度だ。
それでもなにか手伝えることはないかとキッチンへと向かったが、岡田さんは手慣れた手つきで料理をしていた。
鍋に火をかけながら材料を切って、煮込みながら使った器具を洗って。
少しの時間も無駄にしない。
本当に手際が良すぎる。さすがだ……。
むしろ私が入ったら逆に邪魔をしてしまいそう。
「今日は肉じゃがだよ。圧力鍋で煮込んでるからもう少しで出来上がると思う」
煮込んでいる間、鍋を見つめながら岡田さんは煙草に火を付け、ふう、と一息入れた。
その姿にドキッとしてしまう。
いつ見ても煙草を吸う姿は絵になるなあ……。