現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
「……で?どうしてこんなに早く結婚するって決めたの?」

「いや、あのね。実は岡田さん、春からタイの工場に出向することになってて……。それについていくことにしたんだ。このタイミング逃すと、いつまた日本に戻って来れるか分からないから」

「へ……?タ、タイ?」

「うん。ゴメン、それもいきなりの話で」

咲良は目を丸くして、私を見る。
結婚だけならまだしも、海外に行くって言ってるんだから、その反応はあながち間違いじゃない。

「そ、そっか……。里緒奈がタイに……。それじゃあこうやって会って話するのもなかなか出来なくなるってことか。……寂しいね」

「そうだね……。咲良に会えなくなるのも、咲良の子供も見れないんだよね……。そう考えると凄く寂しく思うよ」

咲良はオレンジ―ジュースのグラスを見つめて、少し考えるような仕草をする。
そして、ふっとなにかを悟ったように笑った。

「でも、さ、一生戻って来ないわけじゃないんだし、戻って来たときにまた会えばいいだけ。それに携帯だってあるしね。それよりも里緒奈がそんな一大決心をしたことが凄いと思う。色々大変なことはあるかもしれないけど、頑張ってね」

「……ありがとう、咲良。咲良もさ、子供生まれたら写真送ってね」

「もちろん。しつこいって言うくらい送っちゃうかも。まだ生まれたわけじゃないけど、なんとなく親バカになりそうだし、私」

「アハハ!いいじゃん、光輝さんもいいお父さんになりそうだし、咲良もいいお母さんになりそうだ~。本当楽しみ」

「そういう里緒奈こそ、帰って来るとき三人くらい子供連れて帰ってきたりして。里緒奈もじゅうぶん肝っ玉母さんになりそうな素質あるよ」

「ええ~?じゃあ、もしそうなったら一緒に遊ばせよ!約束ね!!」

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