現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
嫌々に言ったけれど、私の言葉に岡田さんは一気に破顔する。
そして身を乗り出すようにして、私の両肩に手を置いた。

「よし!じゃあお友達から。よろしく、里緒奈」

肩に手を置かれただけでも慌てるのに、いきなり呼び捨てで呼ばれたことで、私はさらに動揺した。

「な、なんで名前で……!」

「一回呼んでみたかったんだ。いいでしょ?友達だし。あ、俺も和宏って呼んでいいよ。あと仕事中以外はタメ口で話そうな。距離を感じて嫌だから」


そんなこと言われても……。
簡単に切り替えなんて出来るか!

「まあ、徐々に……」

「じゃあ、連絡先交換しよう。教えて?」

肩から手を離し、早く出せと言わんばかりにテーブルに置かれた携帯を持つと、ふるふると左右に振って私に見せる。
仕方なく私はカバンから出し、電源を入れた。

「電源入れてないの?」

「誰からもかかって来ないし、仕事中は携帯使わないようにしているんで」

「じゃ、これからは常に電源入れといてね。連絡つかないと困るから」

「……はい」

……ああもう、本当に面倒臭い。
どうしてこうなるんだ。

「連絡帳開いて。俺が入力する。じゃないと保存しなそうだから」

「どこまで信用ないんですか、私は」

うんざりしている私をよそに、岡田さんはとても嬉しそうに、私の携帯に自分の連絡先を打ち込んでいた。


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