現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
***

「……で、相談ってわけ?」

どうしたらいいか分からなくなった俺は、居酒屋のマスターに相談することにした。
マスターとは、今のマンションに住むようになってから店によく通い、それで仲良くなった。
閉店後、誰もいなくなった店内で、俺はマスターに相談を持ち掛けた。

マスターは、あらかたの話を聞き、少し呆れたように笑う。

「な、俺はどうしたらいいと思う?」

「どうしたら、って、声かけるしかないじゃん。時間がそんなにないんだろ?勇気を出すしかないんじゃね?」

「それはそうなんだけど……、引かれたりしないかな?」

弱気な発言ばかりの俺に、マスターは驚く。
驚いた拍子にむせた。

「ちょ、お前そんな奴じゃないだろ?そのルックスだ、女性経験ゼロってことはないよな?」

「いつもはあっちからも来てたから、気にせず行けてただけだよ。仲良くなる過程が今までとは違うからわけが違う」

「うわ~知らなかった、お前って元はヘタレだったんだ。そんなんじゃ上手くいくわけないわ。当たって砕けろ、ダメだった時はもう仕方ないって思うしかないだろ」

「そうだよな……」

「いいか、やらずに後悔するより、やって後悔しろ。その方が立ち直りも早い。なに、嫌われることばかり恐れてんだよ。仕事も失敗恐れてたら出来ないべ?」

さすがマスター、ズバズバと正論を投げつける。
自分でヘタレだとは自覚していたけど、他人にハッキリと言われると、やっぱり傷付くな……。

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