現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
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「お疲れ様でした、お先します」
「お疲れ、真壁。飲み会どうする?あ、もしかしてデートか!?」
「行きませんよ、明日も仕事なのに。そしてデートもないです。だいたいにして付き合ってませんから」
「またまた~。……まあ、気をつけて帰れよ」
帰り際、会社の入口で東雲課長に会ってそんな会話を交わした後、私はとぼとぼと歩いて家へと帰る。
仕事中にからかわれるかと不安だったが、さすがに仕事中にからかってくる人はいなかった。
なんだかんだ言って、みな大人だ。そこはいらない心配だった。
が、しかし休憩になると、やたらとからかわれるけど。
みんな一様に「逃げられないように頑張れ」とか、「なにがなんでも手放すなよ」とか、「これがラストチャンスだぞ」、とかまるで私が岡田さんに必死でしがみついているような体で話すのが、これまた気に入らない。
というか、ラストチャンスってなんだ。
まるでこれを逃したら一生独身みたいな言い方して!!
たしかに私は化粧っ気のない、女らしくない女ですけど。
本来ならあんなカッコいい男が、見向きもしないような女ですけどね。
だけど、枯れたジジイに言われたくないやい!
私だってモテるときはモテるんだ!
……なんて、なんか負け犬の遠吠えにしか、聞こえないな。
家に帰る途中コンビニに寄って、今度こそおでんとカップの日本酒を二本買うと、アパートへ戻る。
部屋に入るなり、小さな鍋でおでんを入れて温めなおし、カップ酒の蓋を取ってレンジで一分。
今日の夕飯はこれで終了。
後は眠くなるまでちびちびとやるだけ。
テレビを点け、大して面白くもないバラエティー番組に、ときたまツッコミを入れながら酒を飲む。
こたつにハマって、こうやってゆったりと過ごすのは、なによりも幸せな時間。
味噌を付けた大根を箸でちぎったところで、携帯が震える。
ディスプレイを見ると、「着信 岡田さん」とあった。
げ、電話まで掛けてくるのか。
なんだよ、こっちは楽しいひとり晩酌を満喫しているのに。
……とは思うが、これで出ずに家に来られるのはマズい。
本当にやっかいだ。
仕方がない、出よう。